銀河ヒッチハイク・ガイド

気がついたらもう公開が始まっていて、諸々の理由により最終日になってしまった。しかしこんなに有名な作品の公開が一週間だけというのは、短かすぎないか。
原作は一作目だけもう何年も前に読んでいたけど、見事に内容を忘れていた。最近復刊になったのをあわてて読み出して、映画開始数分前に読み終わった。
あまり面白くない、という噂を聞いていたけど、なんのなんの。原作のギャグがかなり忠実に再現されている上に映画的なギャグも増えていて(もしかすると、『世界の果てのレストラン』以降の小説にはあるのかもしれないが)、笑いっぱなし。原作もそうだけど、それでもちゃんとSFなところがすごい。ラストはちょっと感動してしまった。
ところで小ネタで、くしゃみをした人に神が白いハンカチを与えてくれるのを待つという宗教が出てくるのだが、信者が一斉にくしゃみをすると教祖が「bless you」と返すという儀式は、お約束で笑う所だろう。客の反応は今ひとつだったのだが、くしゃみ→bless youのコンボはいいかげんもう、日本人にとっても常識ということになってもよいのではないか。この映画でもそうだったが、bless youはたいてい「お大事に」と訳される。日本人、特に関東以東在住の者にとって、くしゃみの際の定番は「ちくしょうめ」であろうが、これは本人が発するわけで、用法が異なる。もう一つの定番、「誰かが噂してる」ではリズムがよろしくない。いずれにしても、bless youに該当する訳語の欠如が問題なのである。まず英語の教科書の一番最初に「bless you」を載せるなどして国民を啓蒙する一方で、bless youに該当する日本語を策定することこそ政府の急務なのではないか。自民党が圧倒的多数を獲得した今こそ、国連の常任理事国入りを現実のものにするためにも、何をおいてもまずこの問題を解決することこそが火急の要件なのである。