クルクルくりん (1) (ハヤカワ文庫 JA)作者: とりみき出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/09/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (13件) を見る

リアルタイムで詳しく読んでいたわけではないけれど、こんなに軽いノリだったっけ。
るんるんカンパニー』はもっとマニアックなネタもあって単なるコメディではなかったような気がするんだが、これはふつーのラブコメっていう感じ。『とりみ菌!!』と年代がかぶっているし、急に「化けた」作家でもないと認識しているので、時代の流れに逆らえずに無理してこういうのを描いたのかと思ったら、やはり絵やファッションを勉強したというようなことが後書きに書いてあった。このときの成果が後の『愛のさかあがり』に表れてくるのかもしれないが、描写がいかにも80年代しているので、読んでいるほうがこっ恥ずかしくなってしまう。
ただ、廊下に立たされるシーンで「馬鹿帽」をかぶっていたり、ドラムの音が「しゃばどす」「どかしゃば」だったりといった、マニア受けするネタを説明なしで使うというのは、この頃から変わっていない。
気になるのは、全体的なトーンがあまりにも江口寿史に似ていること。風俗の取り入れ方やイラストっぽい扉絵、書き文字ではなくレタリングを使ったりするところまでそっくりで、これは流用したと言われても仕方がないのでは。末松某(今話題の「末次」に非ず)ほどではないにせよ。
主人公が当時の原田知世そのまんまなのは、当然か。