ガンダム展@上野の森美術館

勢いづいて、実物大コアファイターを見物するために上野へ。
オモチャは実物大になってもやはりオモチャでしかないのだなあ。トリコロールカラーの戦闘機なんて現実にはあり得ないわけだし、素人ながらこのデザインは空気力学的にどうなんだろうなどと思ってしまう。見逃してしまったけれど、実物大ボトムズのほうがよほど素晴らしかったに違いない。
また、ラストシーンでのコアファイターを再現したと思われるダメージ表現を施してあるが、プラモデルならば素材がプラスチックとわかっているから金属的な表現がすごいなあなどと感心できるわけで、実物大でしかも金属製であることが一目瞭然ならば、逆にリアリティを感じない。装甲板の肉厚やディテールのスケール感がプラモデルのそれに慣らされているしまっており、ビーム兵器の攻撃にさらされる環境という設定がそれに説得力を与えるので、いかにも鉄板ですと言わんばかりの装甲板のダメージ表現を見せられるとむしろ嘘っぽく感じてしまうのだ。
他の展示もいまひとつというか全然面白くなくて、そもそもガンダムは(サブ)カルチャーであるという了解があるので、より抽象化したアートとして見せられても感動が得られない。マンガ的な作品の中にはそれなりに面白いものもあったが、やはりこれはアニメに近いものとしてのマンガという文脈で見ることができるからではないだろうか。
ニュータイプとしての素質を探るというような趣旨の参加型デモンストレーションもあったが、胡散臭いESPの実験の域を出ていない。ガンダムとは無関係なところでそういうことをするならそれなりに面白いかもしれないが。そもそも、ニュータイプの概念はESPとは違うと劇中でも何度も説明されていたのではなかったか。
この企画は、アートとしてよりもむしろ文学的なアプローチのほうが面白くなったのでは。