これでスッキリ

2001+5―星野之宣スペース・ファンタジア作品集 (アクションコミックス)

2001+5―星野之宣スペース・ファンタジア作品集 (アクションコミックス)

ちょうど休刊まぎわに「スーパーアクション」を購読していたことがある。当時この雑誌で『2001夜物語』の後に始まった作品がずっと気になっていたのだが、題名もわからず、調べるに調べられなかった。小惑星帯で剣の形をした異星人の宇宙船が発掘されて、内部に入った登場人物が「不思議と違和感がないな」というような台詞を言っていたことは憶えていた。
そんなところに、帯の惹句に期待して買ったこの本に収録されている「STARSHIP ADVENTURE Star Field」というのが、その作品であった。敵の宇宙船のデザインがギーガーっぽくて、その宇宙船に剣型の船体で体当たり攻撃するというのが、痛快ながらも無茶なことをするなあと感じたことも思い出した。そして、やはり未完だった。
作者の後書きによると、準備不足で始めたために不幸な結果に終った、というようなことが書いてあるが、今読んでも結構面白いと思う。
最近の作品もいくつか収録されている。火星の衛星で氷づけの恐竜が発見されるのだが、その説明が「ー火星から地球へ隕石が飛んでくるなら逆もありえた…」。でもこれはちょっと無理っぽい。内側の軌道を回る惑星から外側の惑星に達するには、逆の場合よりもよほど大きなエネルギーが必要なのでは(ホーガンの「ガニメアン」シリーズで得た知識)。こういうトンデモすれすれのところも、作者の持ち味ではある。