バリントン・J・ベイリー『カエアンの聖衣』

カエアンの聖衣 (ハヤカワ文庫 SF 512)

カエアンの聖衣 (ハヤカワ文庫 SF 512)

受動的知性を持った植物が能動的知性(人間のことだ)の存在を知り、自らを素材(「プロッシム」という繊維)とする衣装でもって人間を操ろうとする、衣装SF。
と書いてしまうとストーリーを全て説明したも同然なのだが、ベイリーのことなので、小ネタが満載。蝿の惑星、超低周波音波を主な攻撃手段とする生態系に、"ヤクーサ・ボンズ"(やくざ・坊主)。
伝説のスーツを身に付けた人間が蝿の惑星に放り出されるが、その人間はあっという間に蝿たちに食い尽くされてしまう。スーツそれ自身では動くことができないが、蝿たちを操って「スーツを着た蝿の群れ」状態にし、移動したり宇宙船を操船させたりする。面白いなあ。