大森望『特盛!SF翻訳講座』

特盛! SF翻訳講座 翻訳のウラ技、業界のウラ話

特盛! SF翻訳講座 翻訳のウラ技、業界のウラ話

前回の出張中に、読む本がなくなってしまったのでたまたま買ったのだが、これがとても面白い。
SFマガジンで連載していたエッセイはたまに読んだことがあって、結構憶えていた。特に、グレッグ・ベア「鏖戦」の回は、とり・みきの挿画に大爆笑した思い出が。
超訳」も今やなしくずし的に受け入れられたことになっていると思うのだけど、そういえば当時はこういう論争もあったっけ。著者じゃなくて「訳者」は最初から原稿を手書きではなくワープロ打ちしていたらしいが、コンピュータについての昔話も文筆業の視点からだとやはりちょっと違っていて興味深い。
ところで、翻訳文というのは実は結構特殊な日本語である、という旨の記述がある。漢字と仮名の使い分けとか主語の省略のし方などについてなのだが、これはおれの流儀とほとんど同じだ。改めて考えてみれば、今までに読んだいわゆる活字の本のたぶん8割は外国語からの翻訳なわけで、影響されるのもあたり前か。自分の文章は、「ネイティブな」日本語と比べると実は違和感があるのではないかと、心配になったりして。
故・黒丸尚への追悼文は、泣けた。