明智抄『少女忍法帖』

少女忍法帖 (ホラーMコミック文庫)

少女忍法帖 (ホラーMコミック文庫)

これは文庫だから、文庫落ちする前の単行本があったはずなのに、ちっとも知らなかったよ…と、人知れずマニアな屈辱を感じていたのだけど、どうもこれは最初から文庫で発行されたらしい。表題作は不定期連載だったようだけど、一番新しいやつは雑誌の2005年11月号で発表されている。
掲載誌は「ホラーM」なんだけど、ホラーどころか、ものすごいギャグ。「私はくの一になる」と宣言したとある優秀な忍者は、有言実行して確かにくの一になるのだった…性転換したから。彼を恋していた本物の女であるくの一がいるのだが、彼をたぶらかして、ひそかに彼の子供を産む。そしてその子供を、彼に負けないくの一に育てあげようとする。ちなみにまだ小学生のその子供は、ニューハーフなのであった。って文章で書くと面白さがちっとも伝わらないが。これは中途半端に終わっているので、続きをぜひ読みたいところ。
表題作以外の短編たちは1999年の『野ばらの国 (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ 102)』とほぼ同じだけど、粒ぞろいなので損した気はしなくて、むしろ再読できてよかったと思えるくらいにいい短編ばかり。