大森望『現代SF1500冊 回天編 1996〜2005』

現代SF1500冊 回天編 1996‐2005

現代SF1500冊 回天編 1996‐2005

出てすぐに買っておいたのに、今ごろ読み終わった。
前の『現代SF1500冊 乱闘編 1975―1995』に出てきた本なら、たぶん2〜3割は読んでいるしタイトルと作者名なら9割がた識別できた。しかし、この『回天編』では、シンクロ率がぐっと低下。日本人作家とライトノベルの割合が増えたことによると思うけど、かといって今現在それらを積極的に読もうとは思わない。
本当は、おれがこの10年間に読んだSFについて著者がどういう評価をしているのかを知ることによって、記憶の彼方に消えかけていた作品を再評価するきっかけが欲しかったのだけど、著者自身が翻訳したり他の評論家が言及した作品は取り上げないという制約もあって、やや期待はずれとなってしまった。
「おわりに」で著者自身も書いているけれど、最初の5年は『エヴァ』、後の5年は『グレッグ・イーガン』というキーワードがやたらと出てくる。エヴァはともかく、ここ数年のSFにおけるイーガンの重要度が異常に高いというのは、同感。