ジャック・ヴァンス『竜を駆る種族』

竜を駆る種族 (ハヤカワ文庫SF)

竜を駆る種族 (ハヤカワ文庫SF)

ハイペリオン』の「バアッ!」の元ネタであるらしいということもあってずっと読みたかったのだが、たまたま新装版として出ていたので読んでみた。確かに雰囲気といい小道具といい、『ハイペリオン』との共通点は多い。
ダン・シモンズが献辞を捧げるだけあって、文章がとても格調高くて、とことんグロテスクな描写もあるがそれも含めて非常に素晴らしい。情景の描写、特にテクスチャと色彩の描写がとても繊細かつ大胆で、文章を読んでいながら色つきの情景が自然と頭に浮かぶという珍しい経験をした。
ところで、たぶん今さらなんだろうけど、この小説は佐藤史生の『夢みる惑星』の元ネタでもあるのだと思う。竜を使役するというアイディアやその種類のネーミングはもちろんのこと、この異世界における人類の来歴や隠されていた宇宙船なんていう細部も含めて、パクリというにはあまりに堂々としているので、これはオマージュというべきなのだろうけど。