サイモン・シン『ビッグバン宇宙論』

ビッグバン宇宙論 (上)

ビッグバン宇宙論 (上)

ビッグバン宇宙論 (下)

ビッグバン宇宙論 (下)

正直なところ、なぜ今更「ビッグバン」なのかと思ったが、やはりサイモン・シンの本は面白い。
天動説や平坦な地球という古代人の考えから現在のビッグバンモデルが主流になるにいたるまでを時系列に沿って解説しているわけだが、登場する科学者のエピソードや社会的な背景など、情報量が圧倒的でまったく飽きさせない。
特に後半、フレッド・ホイルがよく出てくるのだが、彼自身は定常宇宙論者でありながら「ビッグバン」の命名者だったというのは知らなかった。ホイルといえばおれ的にはSF作家だし、進化論科学者にとっては例の始祖鳥の化石の件で悪者扱いだし、ビッグバン宇宙論者にとっては敵役でありながら非常に大きな貢献をした偉大な科学者ということになる。こういうエピソードがてんこ盛りだし、題名だけで判断せずにちゃんと読んでよかった。