アイリーン・ガン『遺す言葉、その他の短編』

遺す言葉、その他の短篇 (海外SFノヴェルズ)

遺す言葉、その他の短篇 (海外SFノヴェルズ)

確かに他の誰とも比較できないユニークな作風ではあるけれど、ものすごく面白いというほどではなかった。ギブスンやスワンウィックが寄ってたかって褒めているが。あっさりしすぎているというか、こぢんまりしているというか、もう少し派手さがあってもよかったなあ。
ニルヴァーナ・ハイ」という短編がある。主人公が通っているのが「コバーン高校」というので、おや?と思って読んでたら、コートニー・ラヴとかずばりカート・コバーンの名前が出てきた。「エンターテイン・アス」なんていう科白も出てきたりして楽しめたのだが、最後のほうの主人公の科白「気にしないで」というのはもしかしたら原文では「Never mind」だったりしないのかな?
解説は巽孝之小谷真理の対談形式なんだけど、いい加減この夫婦も気色悪い。
ただ、『ディファレンス・エンジン』の巻末に収録されている「差分事典」を書いたのがこのアイリーン・ガンだったというのは知らなかった。本棚から引っ張り出してみたら、確かにそうだった。この解説で良かったのはこの点だけ。