『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』

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あさま山荘事件はかすかに当時の記憶があるものの、今でも事件にいたるまでの経緯などはほとんど知らないに等しいので、これはいかんと思い観に行った。ちょうど去年、山本直樹の『レッド』を読んでいたのが役に立った。
実録の映像を編集したドキュメンタリーとして60年安保のあたりから始まるので、連合赤軍が成立する過程などはよくわかった。交番襲撃事件のあたりからはさすがに映像としてはフィクションとなるが、あくまでも連合赤軍内部からの視点として撮られていて、それはあさま山荘事件のシーンでも同様。なので、有名な鉄球は出てこず、破壊される山荘の内部にいた連合赤軍のメンバーと人質が経験したであろう映像となっている。
「総括」のシーンは、ものすごい迫力だった。暴力だけでなく、リンチにいたる過程がていねいに描かれている。
3時間を超えるにもかかわらず、息もつかせずあっという間に終わってしまった。これでも、ところどころ細部をはしょっているらしい。
連合赤軍メンバーの発言の内容や軍事訓練などは、極論すれば子供の遊びにしか見えない。実際、理論武装しているとはいえしょせんは様式化された理想論だし、軍事行動のプロがいたわけでもないので、それはそうだろうと思う。
一緒くたにしてはいけないのだが、なんかつい最近似たような経験をしたような気がするなあ。「革命」や「思想」を「ビジネス」に、「軍事訓練」を「技術」や「コミュニケーション」に置き換えると、結果として出来する事象も「総括」に近いものになるわけで。…というように、どうしても最近はそういう方向に考えてしまう。
ところで、上映中、隣の熟年カップルは始終ひそひそ話をしていて非常にうるさかった。また、携帯電話を開けてディスプレイを煌々と光らせていた者が、そのカップルも含めて少なくとも3名いた。すっかり平和ボケが当たり前になった現在の日本では、思想犯よりも「一般市民」のほうがよほどたちが悪いようだ。さすがに終映後、隣のカップルには注意したが、耳が遠くなってでもいるのか、自分たちの声が周りに聞こえているという自覚がないようだった。っていうかぁ、上映中に会話しないでしょ、ふつー。呆れたことに、「常に話していたわけではない」などと言い出す始末。この馬鹿どもが。
シアター・キノの中の人にも苦情を申し立てたが、煮え切らない回答。こういう不届き者には自己批判させるなどの処置を望みたい。