楳図かずお『わたしは真悟』1,2

オリジナルの単行本は当然持っている。
そろそろ帰省の支度をしようかなと思っていたところに、雪の影響で予約していた飛行機が欠航になったというメールが。最近はそういうこともメールで教えてくれるようになったらしい。すぐ航空会社に電話したところ、後続便を確保できたのでひと安心。で、空港に着いて本屋を覗いてみたらちょうど1冊ずつ置いてあって、横浜に戻ってから読もうかとちょっと迷ったが、正月休みに家で読もうと思って購入。
ところが、飛行機に搭乗したまではよかったのだが、千歳が大雪らしくて滑走路の様子が怪しいということで機内で1時間ほど待機。千歳に着いたら着いたで、滑走路が混んでいるということで上空で旋回すること約30分。というわけでいつもの倍くらいの時間がかかったので、2冊とも機内で読んでしまった。
いつものごとく、装丁が凝りに凝っている。カバーをめくると表紙が透明なビニールになっており、背の糊づけが透けて見える。のりしろの面積が小さいから、これはレナルズの鈍器文庫の解説にあった特殊な糊なのだろう。カラーを完全収録、しかも追加カラーもあるとのことだが、まあ色使いが特に素晴らしいというわけではないので、これはどうでもいい。相変わらず複数種の紙が使われているが、やっぱりこれも微妙。
初めて読んだときから、1巻の終わりから2巻の冒頭にかけてのコンピュータ内部のデータの流れを視覚化するシーンが大好きだ。白と黒のタイルで表現されたビット列が染色体(の模式図)状の形に変化し、胎児のようにも見える真悟の覚醒前の自我に取り込まれる。王道パターンではあるのだけれど、楳図かずおならではの表現と、前後のストーリーからはあえて浮いて見えるように違和感を持たせるという演出がいい。