スコット・シグラー『殺人感染』

殺人感染 (上) (扶桑社ミステリー)

殺人感染 (上) (扶桑社ミステリー)

殺人感染 (下) (扶桑社ミステリー)

殺人感染 (下) (扶桑社ミステリー)

オビによるとこれは「ハード・サイエンス・ホラー」だそうで。いやーそういう法螺(シャレ)も含めて楽しめた。
その「ハード・サイエンス」的な描写は確かに上巻で出てくるけど、つっこみどころがありすぎでむしろ笑える。そう、これはむしろ「バカ・ホラー」。で、バカでいいと思うんですよね。バカ万歳。そういう意味では、ハリウッド映画のノリ。
けどこの小説はそれだけにはとどまらない何かがある。不死身の、ドMなのかドSなのかわからない元フットボールプレイヤーについてのグロ描写や、後半のそこまでやっちゃうの感とか、この作者からは何が飛び出すかわからない。下巻の惹句をジョー・R・ランズデールが書いてるのも頷ける。
その元フットボールプレイヤーはいっそこの小説の主人公と呼んでもいいのかもしれないくらいの立ったキャラなんだけど、彼の今は亡き父のエピソードをからめているおかげで、彼がなぜこのような行動をとるのか、また最後のほうの一種の救いが訪れる瞬間など、王道パターンだけれども読ませる。
解説によると、これは3部作の1作目とのこと。なんか最近こういうのが多いんだけど、これは最後まで読んでもいいかも。