大森望『21世紀SF1000』

21世紀SF1000 (ハヤカワ文庫JA)

21世紀SF1000 (ハヤカワ文庫JA)

今年最初に読了した活字の本。もう1月も終わろうとしているというのに、この体たらく。
この10年に刊行されたSF小説が1000点、簡単でわかりやすい解説と、★の数による評価がされている。「序」にあるとおり★の数は著者の主観的なものなので、参考程度に。
前半の5年ぶんは同じ著者による『現代SF1500冊 回天編 1996〜2005』で既読なのだが、かなり忘れていた。また、これは偶然なのだが、2005年以降に読んだ本はすべてこのブログに感想を書いているので、記憶に残りやすいようだ。ということで、本書の前半は昔を思い出しつつ、後半は自分が感じたことと比較しつつ読んだ。
それにしても、大森望とはことごとく趣味が合わないんだよなあ。ウィリスやラッカー、ベイリーなど、彼の軽妙でいて安定感のある翻訳はとても好きなんだけど。だから評価に対して納得できない本もかなりあるのだが、この本ではむしろその感じ方の違いを楽しむことができた。また、早川の「Jコレクション」がゼロ年代の日本SFにもたらした貢献の大きさにも気付かせてくれた。
ところで話は変わるが、円城塔芥川賞を獲り、さらに伊藤計劃の遺作の続きを書くなんて、彼らを知る数年前には思いもしなかった。本書の後半では特に彼ら2人に日本SFのホープとして焦点が当てられており、とても感慨深い。