山尾悠子『夢の遠近法』
- 作者: 山尾悠子
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2010/10/26
- メディア: 単行本
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初期作品選ということで、『ラピスラズリ』のような凝った技巧はあまり見られないが、それでもやはりいい。いわゆる幻想小説もあれば、わりと現実的(?)な話やエッセイのような小説もあって、意外にバラエティに富んでいる。五感のすべてに訴えるような文章も好み。文章を味わうというよりは、まるで、口の中で角氷を弄んで転がしているような感じ。
個人的には、特に「遠近法」がよかった。題名はこの異世界を端的に視覚的に表す言葉ではあるけれども、絵画における遠近法というよりは、この異世界の描写から想起される視覚的イメージの解像度の動的な変化、とでも言おうか。
……うーん、こういう小説の感想を書くというのは難しいなあ。