上田早夕里『リリエンタールの末裔』

リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)

リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)

とは言ってみたものの、今ひとつぴんとこないというか、物足りなさを感じるのはなぜだ。
人と技術の関わりということでテーマが統一されているのはわかる。でも書き下ろしの「幻のクロノメーター」で、異星のテクノロジーを導入することの意図がわからない。そのようなものを持ち込まなくても、かつてイギリスに天才的な技術を持った時計職人がいた、というストーリーは成立すると思うんだが。科学技術の発達とそれがもたらすであろう未来がどちらに進むのかという問題提起も。