未知の地平線 (ハヤカワ文庫SF)

未知の地平線 (ハヤカワ文庫SF)

去年の出稼ぎ中に、古本屋で100円で買ってあった。
遺伝子操作によって、人間が病気や先天性の欠陥から開放された近未来の話。アウトローかと思われた主人公だが、反体制集団に二重スパイとして潜入して体制の手先になる。反体制集団は過激な優生学的社会を目指してテロを起こすが、特に主人公が活躍するわけでもなく、テロはあっさりと失敗する。そのころ、主人公の友人は新しい妻を娶るが、彼女は遺伝子操作を受けていない天然種だった。20世紀に<停滞空間>に閉じ込められていた男が解放される。生きる意味を見失っていた主人公だったが、遺伝的に最適とされる女に引き合わされ、結婚し息子が生まれる。どうやらその息子はテレパスのようだ。さらに娘が生まれるが、その娘はカリスマ的な天然種の生まれかわりであるらしいことがほのめかされて、終話。
各エピソードがバラバラで、複数の短編を無理やりにひとつの長編にしたような印象。尻切れトンボになったエピソードがいくつかあり、ご都合主義的展開も多い。ハインラインといえば、『宇宙の孤児』でワタシをSF道に引きずり込んだ偉大な作家ではあるのだが。まあ、長編一作目ということで大目に見よう。
光線銃とか、DNAが発見される前の遺伝子工学もどきとか、当時のSFガジェット満載という点では、資料価値あり。