滅多にペットボトル入りの飲み物を持ち歩くというこはしないのだが、たまたま飲みかけのを持ったまま羽田空港のセキュリティを通ろうとした。ゲートで、ペットボトルを持っているかと訊かれたので、素直に持っていると答えると、装置を使ってボトルを検査してもいいかという。どんな検査をするのか知らないが、検査後に飲んでも安全なのかと尋ねると、検査官が答えるに、たぶん大丈夫です、と。たぶん、じゃあ検査させるわけにはいかん、と当然の反応をしたところ、匂いを嗅ぐだけでよい、と。結局、阿呆面した係官が、栓を開けたボトルをくんくん嗅いでいた。
装置を使った検査の場合には栓を開けなくてもよい、と言っていたことからすると、その場合の検査とは光学的な検査であると思われる。一方、液体の匂いを嗅ぐというのは、何らかの化学物質が混入されていないかどうかを検査するのだろう。毒性があったり発火性があったりする化学物質には、水とほとんど変わらない光学的性質のものもあれば、全く臭気を発しないものもあるだろうし、その両方の性質を持つものもあるだろう。化学物質ではなくても、病原菌やウィルスなどは、いずれにしろ検出不能だろう。そんな検査で、いったい何がわかるというのか。乗客の安全性を担保するに足るような検査では、決してない。だいたい、本気でテロやハイジャックをしようと思ったら、その程度の検査を出し抜く方法くらいはあらかじめ考えるだろう。
まったく、愚昧なことこの上ない。こちとら、何らかの危険がある確率がゼロではないことを承知の上で飛行機を使うわけだし、この程度の検査をしているからといって安心するほど素朴でもない。むしろ、このような非合理的な行為を目の当たりにして、誰かは知らないがこの方針を決めたであろう者の正気を疑ってしまう。
サービスと称してまずいコーヒーを出すコストをかけるくらいなら、もっと意味のある検査をするか、いっそ全部やめてしまえ。