この監督の映画を観るのは初めてだったけど、予備知識ゼロだったのがよかったのかもしれないが、なかなか面白かった。
マトリックス』三部作を一本にまとめたような内容で、ストーリー自体はありきたり。でも、コンピュータのUI、大物・小物のデザインや演出がいちいち凝っていて、なおかついくつかの様式が混在しているので、ワンパターンではない。その凝りようには波長が合った。なお、劇中にXboxiMac、電話ボックスならぬMSNボックスが出てくるけど、十数年後でもこれらのハード・ソフトウェアは現役らしい。
普通の人間社会を知らずに育ったはずのクローン達が、ありえないような学習能力でもって生存本能を発揮したり人間達と渡り合ったりするけど、映画自体にスピード感があるので、あまり気にならない。クローンとそのオリジナルが対面するのだが、言葉の訛りが違う(オリジナルのほうはスコットランド訛り)というようなギャグもところどころあった。
ラストはMylene Farmerの「Desenchantee」のPVのよう。でも映画のほうは、一応希望のある終わり方ということになるのだろう。
映画館を出てくるときに、後ろを歩いていたバカップルの会話。「ブレードランナーみたいな話だったなあ」「それもクローンの話?」「そうだよ」
って、違うだろ。引用しているところはあるけど。よっぽど、訂正してやろうかと思った。