奇談

16年前に起きたという神隠し事件に関するエピソードを除けば、ほぼ原作に忠実で、全体の雰囲気も期待どおり(神隠しといえばやはり妖怪ハンターシリーズの「天神さま」を思い出すが、関連はないようだ)。「はなれ」の様子や「いんへるの」の雰囲気も原作を裏切ってないし、教会の作りも似ている。科白や小道具もほとんど原作どおりで、「世界開始の科の御伝え」の文言も同じだったと思う。
稗田役が阿部寛というのはちょっとどうかなと思っていたが、馴れてしまえばどうということはなかった。いつ「どーんと来い!」と叫ぶかとはらはらしたが。他の役者達も決して派手ではなく、暗めな全体のトーンによく合っていた。
なんだか、熱心なファンが思い入れで作った映画という感じだった。
原作に出てくる「じゅすへる」というのが、実在の聖書において何に対応するのかずっとわからなかったのだが、この映画では「ルシファー」ということになっていた。なるほど、そう考えるといろいろと符牒が合うのだが、何故今までそういう着想が出てこなかったのか、我ながら不甲斐ない。