駕籠真太郎『殺殺草紙』
- 作者: 駕籠真太郎
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2006/07/27
- メディア: コミック
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いい加減ネタに詰まってきたのか、出来の悪い短編が多い。と思って読んでいたが、全体のちょうど半分くらいのところで俄然面白くなった。
殺しの手段として裁縫を使う流派に属していた抜け忍がいて、得意技は、敵の身体にボタンをつけてから服を脱がせるように皮を丸ごと剥いてしまうというもの。抜け忍なので追われる身なのだが、追っ手の得意技は「つぎあて」で、鼻や口など人体の穴を塞いで敵を倒す。その追っ手はつぎあてを「飼って」手なずけていたが、殖えすぎて手に負えなくなってしまう。野生化したつぎあては見境なしに穴という穴を塞ぐようになるのだが、バランスをとろうとする大自然の驚異で、今度は「穴」が増殖して「つぎあて」に打ち勝とうとする…
こんな調子でエスカレートしていくわけだが、このバカバカしさがたまらない。苦し紛れでたまたまこういう展開になったのではないかと勘繰ってもしまうのだが、ギャグ・ドランカーの一歩手前の境界線を見ているかのような、スリリングな面白さがある。