『おそいひと』

友人に誘われて蠍座で観賞。いつもはシアター・キノしかチェックしていないので、見逃すところだった。
蠍座に行くのは初めてだが、カフェもあるし椅子の座り心地もいい。値段も安いし、これからはまめにチェックすることにしよう。
ストーリーは、重度の身体障害者が連続殺人鬼に変貌していくというもの。はるか昔に観たガロのイベントで身障者プロレスをやっていたのだが、それを思い出した。そのときは出場者(名前失念)がフロアにまで乱入してきて、女子の連れと一緒だったこともあって、ちょっとした恐怖を覚えた。いわゆる健常者のエンターテイナーが同じパフォーマンスを行ったとしても、同様の恐怖を感じるとは思えない。つまりこの恐怖は無根拠なものであって、そのような感情を覚えてしまう自分自身に内在する差別意識を改めて思い知らされた。
映像は本編は全てモノクロだけれどもかなりエフェクトがかかっていて、最初は違和感を感じたものの、こういう映像表現なんだと意識を切り替えてみるとすんなり受け入れられた。主人公の容貌もあって、Chris Cunninghamの映像作品のような雰囲気もある。音楽も素晴らしくて、チラシにある「美しい」という表現は正しい。
音楽といえば、World's End Girlfriendというミュージシャンが担当しているのだが、WikipediaによるとAphex Twinと比較されることもあるらしくて、Chris Cunninghamのような、という印象はあながち間違いではないようだ。