山上たつひこ『光る風』

光る風

光る風

「完全版」ということなので買ってみた。
手元にある朝日ソノラマ版との主な違いは、冒頭にカラーの口絵があることと、各話の扉ページが収録されていることくらいか。でもこの手の前衛美術っぽい絵柄は、個人的にはあまり好きではない。
もう何度も読んでいるから特に新しい発見などはないのだけれど、ちょっと思ったのは、最後はこのように一種のDeus ex machinaで終わらせるしかなかったのかなあ、ということ。確かに一点に収束させるのが難しい主題ではあるし、そもそも万人が満足するような結論など出しようもないのだけど、こういう天災でも起こらない限りは変化のしようのない業のようなものを日本人は背負っているという捉え方もできるか。
呉智英の解説は、まあ今さら改めて書くことなどないのかもしれないけど、中途半端で、彼らしくない印象。