ミスト

蠍座で観賞。
スティーヴン・キングは読まないのだが、映画化されたものは結構観ている。原作至上主義者なので映画と原作は別物だと思っているが、キング原作の映画は結構好きだ。
一応、パニックホラーものということになるのだろう。ショッピングストアに閉じこめられて極限状態に陥った人間たちのドラマは、まあありがちだけれどもよく描けていた。キリスト教原理主義者(統一教会がらみではない。為念)が人々をオルグし、集団的な狂気に陥って生け贄を求めるようになるというのは、アメリカではあり得ることだろう。だが、そのネタでやや引っ張りすぎな印象があり、3日間も閉じこめられていれば他にもセクトが自然発生したりしてカオスな状態になるのではないかとも思ったのだが、原作は短編らしいので、尺の長さに合わせた結果間延びしてしまったのかもしれない。
腐海にいそうな蟲っぽいクリーチャーや、触手モンスターやらが出てくるが、これらのデザインはもう少しなんとかならなかったのか。モンスターデザインにおけるギーガーの呪縛からは脱却しつつあるようだが。
最後の15分間がすごい、という噂だけは聞いていたのだが、途中でオチがわかってしまったのは残念。
以下、ネタばれ。
この救いのない結末は、まさによく出来た短編小説だなあとは思うが、よりエスカレートさせることもできたのではないだろうか。特に、演出面でもっと工夫ができたようにも思う。車で脱出した5人が死を選ばなければならないという説得力にも欠けるので、例えば、より深い絶望感に陥ってしまった故であるという描写があればよかったとも思う。また、自殺した軍人たちについても、少しでも伏線があればよかったのに。