つげ義春『生きていた幽霊』

生きていた幽霊

生きていた幽霊

描かれたのは今から50年以上も前だし、内容も当時の子供たちに向けたものだから、まあこんなものか。水木しげるのアシスタントになるよりもずっと前なので、絵柄が手塚や石ノ森っぽい。
さすがにそのころにはまだ生まれていなかったし貸本という文化もよく知らないのだが、なんとなく雰囲気だけでも知ることはできたように思う。昭和40年代の学習雑誌に載っていた漫画も大差なかったが、当時の子供はミステリの流儀などはそれらの漫画から得たもので、そういう伝統は昭和30年代からあったのだろう。
漫画そのものよりも帯に謳われてる著者のロングインタビューを読みたかったのだが、小冊子というか4つ折りのペラの両面にあるだけで、更に『四つの犯罪』に続く、とある。だけど『四つの犯罪』は買わないなあ。それなりに需要はあるのかもしれないけど、ハードカバーで当時の装丁を再現するよりは、文庫にまとめてもらったほうがよかった。