ひさうちみちお『精G』

精G

精G

1年以上積んでしまった。
ひさうちみちおの単行本を読むのはものすごく久しぶりな気がする。『托卵』以来か。
内容は意外にも、認知症となってしまった母の面倒を見るという話なのだが、巻末の林静一との対談にもある通り、この母の妄想がものすごい。夜中に男の人がきて噴霧器をかけていく、なんていうのはちょっと思いつかない。
まあそういう妄想を面白おかしく描いているマンガなわけで、あまり悲惨さは感じないが、これは介護医療が発達したことで家族の負担が減ったということもあるのかもしれない。ただ、親がもし認知症になったとしたら、どう対処すべきなのか。作中の登場人物と同じように、論理的に諭すことしか自分には出来そうもなく、今年の正月に実際に父の衰えっぷりを目の当たりにしてやはり正論でもって畳みかけるしかなかったという実績があるので、身につまされる思いがする。
ところで、前述のひさうちみちお林静一の対談の写真に写っている、しりあがり寿が描いたと思われる掛け軸がとても気になる。