動物農場

シアターキノで開催中の「反貧困映画祭09」のひとつ。
オーウェルの原作を読んだのはもう随分昔のことなので、細部は忘れてしまっていた。まあストーリーは言わずもがなだけれども、当時はスターリン主義への批判として書かれたものが、今や資本主義への批判であると言ったほうがむしろリアリティを得るようになるとは。違っているのは、独裁者とその追従という一握りの支配階級が存在するのではなく、社会の構成員の概ねすべてが豚になりたがっていることか。『虐殺器官』を読んだときにも思ったことだが、そのことが良い/悪いの二元論で議論できてしまうほど現在は単純ではないが。
それにしても、昔のアニメーションは手が込んでいる。今なら3Dでモーション一発、て感じの動きを一枚一枚セル画で描いているんだものなあ。オブジェクトが向きを変えると同時にズームするシーンなどでは、時間単位のフレーム数が急激に減ることが明らかにわかるんだけど、それだけ映像表現への欲求が強いということが却って感じられる。