花輪和一『不成仏霊童女』

不成仏霊童女 (ホラーMコミック文庫)

不成仏霊童女 (ホラーMコミック文庫)

正・続とも単行本で持っているのだけど、コミックス初収録作品があるということで買った。
最初に読んだときにも思ったが、全体的に救いのある話になっている。いやむしろ善人はテッテ的に救われ、悪人は文字通り地獄に落ちるというシチュエーションが多い。この作品世界では、悪人に対する復讐や呪詛が正当化されていて、そのようなことを実行したからといって罰せられることはない。
作者の今までの作品の傾向からすると違和感を覚えたりもするのだが、これについては、ある種の絶対的な「救い」や「赦し」が存在し、そこでは人間の倫理観や相対的な価値観などは通用しないのだ、という解釈もできるかもしれない。