上野顕太郎『帽子男』
- 作者: 上野顕太郎
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/06/25
- メディア: コミック
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ほとんど読んでいるけど、こうしてまとめてもらえるとありがたい。
駄洒落のオチももちろん好きなんだけど、帽子男の場合は特に、彼の思考が収束しすぎて臨界点を突破し様々なビジョンが想起されるという描写が好きだ。ただイメージの奔流を思いつくままに描くのではなく、ちゃんと彼の置かれている状況に合致したビジョンであるというのが凄い。歯医者に行ってさんざん待たされた後でやっと呼び出されたときの、鯉のぼり、寿司、松茸、うな重、クリスマスケーキ、水着の美女達といった様々なご褒美的イコンの奔流と、まるでそれらを齎す女神であるかのように神格化された歯医者の看護婦。しかもこのとき、帽子男が過ごしてきたであろう人生までをも、私達読者は垣間見ることができるのだ。