ダン・ブラウン『天使と悪魔』

天使と悪魔 (上) (角川文庫)

天使と悪魔 (上) (角川文庫)

天使と悪魔 (中) (角川文庫)

天使と悪魔 (中) (角川文庫)

天使と悪魔 (下) (角川文庫)

天使と悪魔 (下) (角川文庫)

ま、ここは「反物質」を何か未知の物質(ex.ミノフスキー粒子)に置き換えて読めば、心の平安は保たれる。
車椅子に仕込んだ隠しカメラで盗撮するのが趣味のマッド・サイエンティストとか、ちょっと猟奇っぽい。使いたてホヤホヤの焼き印がご褒美っていうのもちょっと……。というようなことを考えると、映画のほうがよく出来ている。
終盤のキリスト教vs科学という図式も、やや物足りない。京極堂ならもっと上手くやったことだろう。
とはいえ、この作品があったからこそ『ダ・ヴィンチ・コード』も書けたのだろうし、たった1日の出来事をこれだけのボリュームでしかも濃密に描けるというのは、素直に評価できる。