『時の娘』

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)

このアンソロジーが出ると聞いたときに、どうせロバート・F・ヤングは「たんぽぽ娘」なんでしょと高を括っていたが、ヤング以外の収録作も知らないものばかりだったので読んでみた。チャールズ・L・ハーネスも入ってるし。
収録作はすべて1960〜70年代に書かれたものなので時代を感じざるを得ないのは仕方がないけれど、編者も書いているがロマンスとノスタルジーは確かに相性がいいし、粒が揃っている。はるか昔に読んだ豊田有恒篇の『ロマンチックSF傑作選』の雰囲気を思い出した。
ただ、ジャンル的には超がつくくらい定番なので、どうしても既視感ならぬ既読感を覚えてしまうものも多い。そんな中、最後に収録されているR・M・グリーン・ジュニアという作家の「インキーに詫びる」は異色で新鮮だった。初めて聞く名前だけど、覆面作家ということで経歴が明らかにはなっていないそうだが、とても気になる。