(500)日のサマー

なぜかこの映画の話題になるとThe Smithsというキーワードが出てくるので公式ページを見てみたら、なるほどそういうことだったか。といってもバリバリに音楽ネタ満載というわけではなくて、どちらかというとライトな使われ方か。主人公がガールフレンドと過ごしたハッピーな時を回想するシーンではHall & Oatesが使われており、しかもミュージカル仕立てというセンスの良さ。
ストーリーも面白くて、ただの恋愛与太話かと思ったら、この映画は主人公が失恋するまでの記録であることが最初に明かされる。主人公のヘッドホンから漏れて聴こえていたThere Is a Light That Never Goes Outをきっかけに交際が始まるのだが、微妙に噛み合わなくなっていく二人の様子が上手く表現されている。女の子のほうは確かにキュートなんだけど、歴史のある建築物と立体駐車場の区別がつかない娘と、建築家志望の主人公ではやっぱり合わないよな。
「運命」なんて後付けの理屈未満でしかないし、恋愛とは勘違いが連鎖しているだけの幸運な状態、なんていうことはそれなりに人生経験を積めばふつーにわかることだけれども、まああえてそんなことを口に出すような野暮はしないわな。でもそういうようなことを否定しつつも肯定してくれる(いや、否定もしないし肯定もしない、か)、モヤモヤした気持ちをくるんと包んでくれるそんな映画。アバターの5万倍は面白かった。