シャーロッテ・ローシュ『湿地帯』
湿地帯 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション ロ 11-1 )
- 作者: シャーロッテ・ローシュ,シドラ房子
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2009/11/20
- メディア: 文庫
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「あたしのって、すごく変わってるの。肛門のまわりをぷにょぷにょしたものが囲んでるから"カリフラワー"って呼んでる」
たしかにキワモノではあるのだけど、面白い。永井豪の『オモライくん』小説版、といえばまあだいたいわかってもらえるだろうか。
主人公がアボカドの実から種を取り出して水栽培をするくだりで、自分も同じことをして育てているので親近感を覚えた。ただしこの主人公の場合は、女性にしかできない「ある事」をしてから種を育てる。実は彼女は自ら望んで不妊手術をしていて(これもかなりショッキングなエピソードだが)、自分の子供を産むことの代償行為としてアボカドの種を育てている。そのためのいわば「儀式」をするわけだ。
後半でものすごーく痛い描写(「イタイ」ではなく「痛い」。つまり肉体的な苦痛)があるが、その後のエンディングでは真のカタルシスが待っている。
作品の本質とはあまり関係ないが、「この小説の内容の七0パーセントは自伝」というのは驚き。作者の経歴でさらに驚愕。