ジャック・ケッチャム『隣の家の少女』
- 作者: ジャックケッチャム,Jack Ketchum,金子浩
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1998/07/01
- メディア: 文庫
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「救いがない」とか「残酷だ」などということは読む前からわかっているし、結末もこうなるしかないだろう。だから読んでいてそれほど恐怖や嫌悪感は感じなかったというか、いや実際には感じたわけだけど、それよりも誤解を恐れずにいえば、一種の文学的感動を得た(この小説が実際に起きた事件に基づいているとしても、創作された作品は事件とは別物)。酸鼻を極める描写にはどこか冷徹な美しさがあるし、主人公の周囲にいる人物たちが次第に壊れて行く様子がよく描かれている。だが何よりも恐ろしいのは、自分自身がこの小説に出てくる人物のうちの誰かになっていたかもしれない、という可能性について考えざるを得ないということだ。デイヴィッド、メグ、ドニー、そしてルースですらも。
この小説には、闇の中にほんのかすかだが光が射している。しかしむしろ、それこそ本当に救いのない、希望のかけらも見当たらないようなケッチャムの小説を読んでみたいと思った。