一色伸幸『うつから帰って参りました』

うつから帰って参りました (文春文庫)

うつから帰って参りました (文春文庫)

スマン、おれ勘違いしてた。この本は闘病記でもなければうつ病の解説でもなく、作者は脚本家であって、だからこれは一種のノンフィクションに近い脚本とも言える内容なのだった。しかもこの作者がシナリオを書いた映画はひとつも観てないし興味もない。と思ったが、山本直樹『僕らはみんな生きている』の原作はこの人だったということに今気がついた。しかも、山本直樹のマンガの中でもかなり好きなほうだ。
まあそんな感じでぺらぺらに薄い内容には肩透かしを食らった感じではある。とはいえ、ところどころ共感できるところはあって、特に作者がうつ状態にあるときの、とにかく消えてしまいたい、という気持ちはよくわかる。
あと、うつ病というものが病気であると一般に認知され、企業や行政でもちゃんと受け入れるというのは、まだまだ先のことなんじゃないかなあ。大学の心理学科を卒業したはずの会社社長が、気の持ちようだとか、二度とこんなことにならないように気をつけたまえ、なんて当人に面と向かって言うくらいだからねえ。