江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

実は乱歩はあまり読んでない。読んでいたとしても、三十年以上前だろうから、もうほとんど憶えてない。さすがに「人間椅子」はわかったけど。
しかしこの映画は素晴らしかった。主人公よりも、その父親役の土方巽という俳優がよかった。調べてみたら、日本の暗黒舞踏創始者のような人だったらしい。途中で出てくる、誘拐されて外科手術でわざわざ奇形にされた奇形人間たちも、彼の劇団の団員たちらしい。
まあたしかに全体的にチープな作りではあるんだけど、上述の土方巽や奇形人間たちなど、「本気」を感じた。由利徹大泉滉のコントのシーンも、なかなか笑えた。冒頭の精神病院のシーンで、「おれは葦原将軍だ!」と叫ぶ患者がいて、これもニヤっとした。
乱歩を知らなくてもあまり問題はなかったけど、『パノラマ島奇譚』くらいは読んでおこうかな。