リチャード・ハモンド『宇宙の未解明問題』

むう。
この本は題名どおり、現在の宇宙論において未解明の問題について書かれている。で、主に暗黒物質ヒッグス粒子について知りたかったのだが、あまり新しい知見は得られなかった。まあ、予め「未解明」と謳っているわけで、その意味では看板に偽りはないのだが、それにしても物足りなかった。やはり安易に回答を求めようとしちゃあダメだな。
あと、この手の本にありがちな、余計なユーモアや横道への脱線が多くて、少々閉口した。読者に考えさせようという、教育者ならではの親切心なのだろうが、ところどころに読者への問い掛けがある。「なぜケプラーの法則は銀河にあてはまらないのか?」「なぜヒッグス粒子は観測されたことがないのか?」といった具合。しかしこの問い掛けにおける選択肢が、おふざけが過ぎるというか、はっきりいってスベってる。やたらと「オゾンのせい」というフレーズが出てくるのだが、これはアメリカではオゾンが一種のワイルドカードというか、一見不思議に見える事象を疑似科学的に説明する際のキーワードになっているせいらしい。日本における、マイナスイオンといったところか。また、これらに問い掛けに対する著者の回答が、主に消去法によって説明されるというのも、いかがなものか。前提から演繹することによって回答に至るという、科学的・論理的思考方法の手本にもなってないじゃないか。
そろそろ本気でブルーバックスからは卒業しようか。