わたしを離さないで

あー、いい映画だ。
カズオ・イシグロはなぜか縁がなくて、ひとつも読んでない。ただ、予告編の映像がとてもきれいで、登場人物たちのわずかなセリフから判断するに、『アイランド』と同じテーマなのかなあというところが興味をひいたので観に行った。
確かに『アイランド』と同じような設定だけど、正確には歴史改変ものになるのかな?まあそんなのは些末なことだが。
やはり映像がとにかくきれいで、建物や小物にも目配りがきいている。セリフや微妙な間など撮り方が上手くて、これは作者自身が制作に関わっているからかもしれない。また、子役も含めて、俳優たちがとてもいい。シャーロット・ランプリングの存在感は当然としても、若い三人の俳優、特に主役(といってもいいだろう)のキャリー・マリガンがよかった。「目で語る」のが上手い。
ただ、トミーがなぜあれほど「ギャラリー」にこだわるようになったのかがよくわからなかった。この「ギャラリー」は、トミーが想像していたのとは全く別な重要な意味を持っていたのであるが、彼が固執するようになった原因または過程が描ききれていなかったように思う。
それでもやはりこの映画はいい。原作も読んでみたくなった。