水月とーこ『がんばれ!消えるな!!色素薄子さん』5
がんばれ!消えるな!!色素薄子さん (5) (IDコミックス REXコミックス)
- 作者: 水月とーこ
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2011/05/27
- メディア: コミック
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で、この巻に関しては、中盤まではわりと面白い。薄子さんがちょっと太ったんじゃないかと思ったら次の話ではダイエットしたり、閉じ込められたり存在を気付かれなかったりといったキャラ本来の持ち味を活かしたギャグがあったり。
でもやっぱり甘さが目立つ。電車で乗り合わせた老夫婦との会話は説教じみていて好きじゃない。あと、これは絶対におかしいと思ったのは、薄子さんが隣の弟君に勉強を教えるというエピソード。彼は古典が苦手なのだが、それに対する薄子さんのアドバイスは、「宇宙人とお話してると思えばどうかな?」というもの。外国語ならともかく、古典が苦手な者(れっきとした日本人)にその喩えはないだろう。古語で会話が通じる人間など現在はほとんどいないわけだし、古語を今現在コミュニケーションのツールとして用いるという発想は、古典を学ぶモチベーションにはならないだろう。しかもそれに対してえらく感銘を受ける弟君もまた輪をかけて謎。
また、絵尾画子さんのアートに対する姿勢も不自然。自らを「ピカソ」と呼び抽象絵画を描き、傍からは奇矯な行為をしていると見られるような人物が、食堂のサンプルの代わりにファンシーな絵でもってメニューを描いたりするだろうか。
フィクションとしての嘘は大事だと思うけれど、その嘘が読者に見え見えではいけないと思うんだ。