J・G・バラード『殺す』

殺す (創元SF文庫) (創元SF文庫)

殺す (創元SF文庫) (創元SF文庫)

百数十ページしかない薄い本なので、苦手教科(バラードのこと)を克服するためにも読んでみた。
もう十年以上前のことだが、『QUIZ』というミステリ仕立てのテレビドラマがあった。第一話はとても良かったのだが、後半になるにつれ物語が破綻していき、結果的に大コケしたのであった。
そんな駄作ドラマを観ていたおかげでこの小説の「犯人」は早々にわかってしまったが、謎解きに重点が置かれているという小説ではないだろう。前述のドラマと比べても、「犯人」は同じだけれども動機はむしろ正反対だ。だけどそのおかげでバラードの小説の読み方がわかってきたような気がする。ネットの感想では伊藤計劃の『ハーモニー』を引き合いに出している例があったが、確かにこの閉塞感には共通点があるかもしれない。
読み終わってからカバーを見てみたら、ネタバレじゃないの。それにしても、なぜこの邦題なんだろう?