高橋昌一郎『感性の限界』

『理性の限界』、『知性の限界』と来て、次の限界は何かと思ったら、「感性」だった。
これはテーマとしてはとても難しいんじゃないだろうか、「理性」や「知性」ならば、物理学、論理学、哲学などさまざまな分野において「限界」が存在することが証明されているが、「感性」の限界をどう呈示するというのだろうか。などと読む前に思っていたが、認知心理学、自由意志、実存主義といった分野から攻めてきた。なるほどなあ。
今回の登場人物はややペダンティックな傾向があるのか、雑学的な話題が頻繁に登場し、その多くは不覚にも知らないことばかりだったので、勉強になった。
また本書の中でも言及されているとおり、これらの議論は科学というよりはむしろ文学に近いと思う。実際、イーガンやチャンの作品のテーマに近い内容もあったりして、そういう意味でも楽しめた。
さて、はたして次の「限界」は何だろう?