筒井康隆『ビアンカ・オーバースタディ』

ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)

ビアンカ・オーバースタディ (星海社FICTIONS)

なるほど、これの前に『ダンシング・ヴァニティ』を読んでおけというのはこういう意味だったのか。第一章から第四章までの各章は冒頭の部分がほぼ同様の出だしになっており、このくり返しの感覚はたしかに『ダンシング・ヴァニティ』だ。
主人公の美少女が生物学部の実験のために男子生徒や教師の精液を集めてまわり、やがてそれがエスカレートしてとんでもないことになってしまうというのは、初期のドタバタSFのような展開。セルフパロディなのか、未来からやってきた未来人も登場する。
第五章では主人公たちは未来に行くのだが、未来では種としての人類全体が弱体化しており、特に男性は主人公たち女子高校生にボコボコにされてしまうほど虚弱。人類がなぜそうなってしまったのかという理由など、過去の筒井作品ですでに扱われているテーマなので、新鮮味がなかった。
以上、「ラノベ」という言葉を排して感想を書いてみた。太田が悪い。