ポール・オースター『幻影の書』

幻影の書

幻影の書

初めて読むオースター。
改行が少ないし会話文も一切ないけれど、ストーリーテリングが上手いのでぐいぐい読ませる。
ほとんどの登場人物が(決して彼らの精神的弱さのみに由来するわけではないのにもかかわらず)どこかしら病んでいて、ときおり発露する感情の高ぶりが、ある意味グロテスク。けれどもそれ故に、この小説は美しい。