ロバート・C・ウィルスン『ペルセウス座流星群 ファインダーズ古書店より』

連作短編集ということになっているけれども、各短編の間の関連はとても緩いので、それぞれ独立した短編としても読める。
てっきりいつものように人間ドラマ重視のSFだと思っていたら、一作目の結末で「うわあああ」となって、先入観が見事に打ち砕かれた。他の短編も、SFというよりも幻想小説あるいはホラー小説という趣で、「連作」の意味の一端はそこにあるのかと。とはいえ、《時間封鎖》三部作よりも前に書かれた短編集だけれども、それと通底している部分は確かにある。
非日常的な異形のもの、異質なものがテーマになっている短編が多いが、それらをこのような形式で描写するという小説は初めて読んだかもしれない。なんというか、我々が普段認識している日常のとらえ方とは異なる座標軸から俯瞰しているような。ある種の失見当を経てそれまで異質だったものが常態となってしまう過程を冷徹に描写しているような。そこに、微妙で精緻な筆致でもって人間ドラマが並行して語られるという、なかなか技巧的でありながら、決して懲りすぎてはいないところがいい。
前述のようにホラー小説という雰囲気があるので、決してハッピーエンドとはいえないのだが、にもかかわらず爽快ともいえる読後感が得られるというのが不思議。