GARNET CROW livescope 〜THE FINAL〜 東京国際フォーラム

「コナンといえば当然『未来少年』だろう」という人なので、アニメから入ったクチではない。だから、名前だけは知ってたけどアニメの主題歌というイメージが強くて、当初はほとんど興味がなかった。2000年頃は邦楽といえばもっぱらCymbalsthe brilliant greenを聴いていた。
それから随分経って、たまたまYoutubeで観た「風とRAINBOW」の曲に惹かれて、また中村由利の声とルックスがとても印象的で、急に気になり始めた。ちょうどその頃に出たDVD(『GARNET CROW LIVESCOPE OF THE TWILIGHT VALLEY』)が5.1chのドルビーサラウンドで、ホームシアターを導入したばかりだったこともあって、一時期こればかり観ていた。
だからファンになったのは2007年頃なのだけど、それ以来たまにアルバムを買ったり、いつの間にかライブDVDが全部揃っていたりして、今に至る。でもアルバムを遡って聴けば聴くほど、昔の曲のほうがいいなあ、というのが正直なところ。デビュー曲がもうすでに完成度が高くて、ちょっと泣けるメロディとネオアコっぽい雰囲気がとてもいい。しかし最近の曲はどうも新鮮味がなくて、バラード曲は重たい感じがして行き詰まってるのかあと思っていたところに、「やっぱり」という感じの解散の報せ。
当たればラッキー、という程度の気持ちで先行予約に応募したら、見事当選。ついでに他のイベントも土日をはさんであるので、観に行くことにした。
前述のようにライブDVDは全部観ているので、キャリアのわりにライブでノせるのが下手だなあとか、観客は随分礼儀正しく拳を振るんだなあという印象があって、あまり盛り上がらないんじゃないかと思っていた。ところが、ファイナルツアーということもあってか、大いに盛り上がるじゃないか。生歌いいじゃないか。MCも面白いじゃないか。特に古井弘人は、寡黙な人だと勝手に思い込んでいたけど、意外に饒舌でしかもトークが面白い。逆にAZUKI七はあまり喋らないし、喋ったとしても無難なことしか言わない感じ。中村由利のメンバーへのむちゃぶりは、DVDで観たまんまだったが。苦手なバラード曲も、ストリングスが入ることでいい雰囲気になっていた。岡本仁志のギターはあまり出しゃばらず、自己満足的なところがなくて潔い。
会場の音響もよくて、ボーカルが引き立っていた。ホールに特有の高音がキンキン響くということもなく、低音が振動としてではなくちゃんと音として聴こえていた。席は後ろのほうでメンバーの表情もわからないほど遠かったしかなり左寄りだったけれども、勾配があるのでステージは全部見えたし、座席の配置が扇型になっているためか斜めから見ているということがあまり気にならなかった。初めて行ったけど、この会場はなかなかいいな。
ということで最初で最後のGARNET CROWのライブだったけれども、約3時間、ダブルアンコールまでやってくれてかなり満足。悲壮感ゼロなところもよかった。ソングライターとしてはともかく、ボーカリストとしての中村由利のキャリアがこれで終わってしまうとしたら、それはちょっと残念だなと思う。
それにしても、GARNET CROWって不思議なバンドだな。リズム隊がなくてキーボードが二人という編成のバンドなんて、他には知らない。たしか、デビュー当時を除いてそれほどセールス的に恵まれていたわけでもなかったと思うし、メディアへの露出も少なかった。それでも13年もやってこられたというのは、それなりの結果を出し続けていたということなのだろうけれども。