萩尾望都『10月の少女たち』

10月の少女たち (小学館文庫 はA 45)

10月の少女たち (小学館文庫 はA 45)

最近は文庫版のコミックはなるべく読まないようにしているのだけど(画も字も小さすぎて読みづらいので(泣))、これは大好きな「あそび玉」が収録されているし、解説が吾妻ひでおなので読んでみた。
収録作については吾妻ひでおがだいたいのことは語ってくれているのでそちらを読んでもらうとして、ちょっと気になったのは、<精霊狩り>のシリーズ。
このシリーズにおける、外見は人間と全く同じだが、長命で超能力も持つ「精霊」という存在は、『ポーの一族』にとてもよく似ている。「生命はどこからきたのか」という問いかけも、『ポーの一族』でもくり返し現れる。発表されたのは「精霊狩り」のほうが若干早いが、シリーズとしてはほぼ同時期に描かれたようだ。それと、同じテーマを扱っていながらも、一方はマイノリティーかもしれないけれども種として存続していく希望が見えるのに対して、もう一方の一族は滅びゆく定めであることを暗示するかのような終わり方をしている。このコントラストが面白い。
あと、吾妻ひでおも言及しているけど、「赤っ毛のいとこ」で山上たつひこが頻出するのはなぜ?1コマだけこまわり君が登場するが、この画が模写にしては似すぎていて、山上たつひこ自身が描いたのではないかと思えるくらいなんだけど、この頃って交流があったんだっけ?