ガッチャマン

評判があまりに酷いので、どれほど酷いか確認するために観に行ってきた。メンズデーで千円ポッキリ。
アニメは当時リアルタイムでたまに観ていた程度。でも今にして思えば、タツノコプロ特有のバタ臭さが良い方向に発揮されていて、キャラクターもスタイリッシュだしスピード感もあってよかったなあ。
しかしこの映画は……まあ酷評されても仕方がないよなあ。原作リスペクトとかは別になくてもいいと思っているのだけど、それにしてはマニアをくすぐるためだけに出てきたと思われるチョイ役のドクロベエ様がだだ滑りしてるし、ラノベの絵師がデザインしたような中二病コスチュームに、原作のマントだけを強引にくっつけた感じが超ダサい。ゴーリキーの、「私だってこんなスーツ着て戦いたくない!」(だったかな?)という自虐的な台詞には苦笑い。
剛力彩芽といえば、オレは結構好感を持っていた。ああいう、美人というわけじゃないけどサッパリした感じの女性が好みで、ネットで叩かれているのが不憫で理不尽だと思っていた。でも、叩かれる理由がこの映画でわかったような気がする。要するに、「大根」なのだ。モデルとしてのビジュアルやトーク番組などでの話し方には好感が持てるのだけど、演技力(と、歌唱力)は今のところ学芸会レベル。それでいて連ドラで主演を張ったり、このような映画で準主役級のキャラクターを演じるというのは、キビシイものがある。その一方で、ベルクカッツェ役の女優はそこそこいい演技をしていた(この映画ではベルクカッツェは世襲制で、この三代目は女性)。
話を元に戻す。序盤からトンデモな設定が炸裂していてツッコミどころが満載だったけれど、そういう意地の悪い楽しみ方をするのも30分くらいで飽きた。剛力彩芽も含めて5人のガッチャマンも、岸谷五朗中村獅童も、すべてミスキャスト。映画への愛も微塵も感じられず、主題歌はBUMP OF CHICKENの無駄遣い。タダ券を貰ったとかそういうことでもない限り、観る価値はないです。
あ、開始して5分間くらいの「おはよう忍者隊ガッチャマン」だけは大笑いした。熱烈な鷹の爪団ファンならば、これだけを目当てに行ってもいいかもしれない。なんだバカヤロウ。


この映画は、ある意味「パシフィック・リム」の対極にあるような気がする。日本の怪獣・特撮映画を愛してやまないメキシコ人が作った映画と、日本製アニメを原作としつつもそれは無視していいからと言ってのける日本人が作った映画。そもそも比較するのが失礼だけど、どちらが表現者として、また映画監督として真摯であるかは、言うまでもない。