フリア よみがえり少女

これは邦題にミスリードさせられた。原題はスペイン語の「Dictado」で、英語だと「Dictation(書き取り)」。劇中でも書き取り歌が重要な役割を果たしているけど、他に「命令」という意味もあるので、ダブルミーニングになっているのだろう。
ジャンル分けするなら、ホラーというよりはサイコスリラーかな。というのは、この映画は邦題から連想されるような輪廻や霊魂といった怪異とは実は無関係で、人間の深層心理や狂気が引き起こした悲劇を描いたものだから。京極夏彦の<妖怪シリーズ>に近いかも。
そういう意味ではストーリーに大きな破綻はなく、論理的に説明がつくようになっているのはよかった。でも、少し物足りなかったかな。夫婦間の葛藤みたいな人間ドラマは置いておいて、主人公が狂気に堕ちていくところをもっとねちっこく撮ってくれればいいのに、と思った。少女の演技がよかっただけに、ちょっと残念。