アンドリュー・カウフマン『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

本文は120ページ程度しかないし影絵のようなイラストもついているのでさらっと読めてしまったが、これはなかなか難しい。意識の問題よりも難しい。
幻想小説かといわれれば妙に生々しくて生活感があるし、マジック・リアリズムとも違う。なんとなく山尾悠子の短編の雰囲気に似ているかな。と、何らかの型に嵌めてしまおうとするのがオレのよくないところ。
こういう小説はノれるかノれないかでいいんじゃないかと思いつつも最後まで読んでみたがやはりぴんとこない。が、訳者によるあとがきを読んでみてああそういうことなのかと。って、読み終わってからこのあとがきの抜粋がオビにあって、これがヒントだったことに気がついたよ。これを先に読んでいればもう少し深く味わえたかもしれない。
まあ、夫が雪だるまになってしまうエピソードはイラストにもヒントがあったのでたぶんそういうことなのだろうなと思ったけれども、他のエピソードももっと深読みすべきだった。これもいずれ再読しなきゃ。